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Lee-Byung-hun addicted

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Dreaming of LA <8>

Dreaming of LA 8



「ウナさん、疲れてるのにごめんね。
こんな大勢で押しかけることになっちゃって・・」

揺はキッチンでお皿を洗いながらすまなそうに言った。

パサディナの彰介の家では明日の皆の帰国を前に大宴会が開かれていた。

「ううん。大歓迎よ。
私も久々の日本食「おふくろの味」っていうの食べられたし。
ホームパーティーは慣れてるし。
みんなにスエに会ってもらって・・あんなに可愛がってもらって嬉しいわ」

彼女の優しい視線の先には代わる代わるに抱っこされてケラケラと笑うスエの姿があった。

「・・・揺ちゃん、この前、ごめんね。彰介あんなこと言って」

「え?・・・・ああ・・・もう忘れてたし、気にしてないよ。全然」

「そう。良かった・・・・・もし・・・」

「ん?」

「もし・・・元気だったらスエよりずっと大きいわよね」

「そうね。たぶん、彼をミニチュアにしたようなやさしいオッパだったんじゃないかな・・」

「ごめん・・変なこと言っちゃった・・。彰介のこと言えないわね、私。
でもね。揺ちゃん・・・私はあなたが今、元気でいてくれることがとっても嬉しいの。ミニチュアオッパに感謝しないと・・・・」

そういうウナの声は少し震えていた。

「ウナさん・・・ありがと。大丈夫。またきっといつかあの子には会えると思うんだ」

揺はにっこりと笑ってウナの肩を抱いた。

「うんうん・・・・私もそう思う。きっとまた会えるよね。」

「うん」

つぶやいた揺はリビングに視線を移した。

そこにはスエを不慣れな手つきで恐る恐る抱っこするビョンホンがいた。

「せいぜい、修行してもらっていざというときに備えないと」

「え?」

ウナは揺に目配せされ、リビングを眺めた。

「あら、まだまだ修行が足りなそうね」

二人は顔を見合わせてケラケラと笑った。




「じゃ、僕は明日早いのでそろそろ失礼します」

ビョンホンは時計に目をやると名残惜しそうにそう挨拶をした。

「え~帰っちゃうの?つまんないつまんない」

相当酔っ払っている不二子が真っ赤な顔で駄々をこねている。

「え~帰っちゃうの?つまんないつまんない」

彰介が同じような口調で繰り返した。

「え~帰っちゃうの?つまんないつまんない」

幸太郎も繰り返す。

困った顔をしているビョンホンの腕を揺はつかんで冷静に言った。

「この酔っ払いたちはほおって置いていいから、帰ろう。送っていく」

「え?いいよ。タクシーで帰るから」

「嫌だ。何のためにワインちょこっとで我慢したんだかわからないじゃない。
絶対に行く」

「ビョンホン君、送ってもらいなさい。
その子言い出すと聞かないから。送り狼になるかもしれないけど・・・・」

綾はそういうとカプチーノのカップを手にニヤニヤと笑っている。

「え?そういうこと?」

「え?どういうこと?」

「だからそういうことだって」

酔っ払いたちが意味もなく繰り返す。

「また始まったよ・・」

揺は呆れたようにつぶやいた。

そして突然大声で叫んだ。

「はい、注~~目!
『イ・ビョンホンさんを慰問するLA6日間の旅』
お楽しみいただけましたでしょうか。
皆さんのアイドル、イ・ビョンホンさん、
明日の撮影のため本日お帰りです。
明日の空港でのお見送りはスケジュールの都合上ございません。」

部屋にはブーイングの嵐が吹く。

「はい、お静かに~~。
ではここで旅行の思い出に彼とのハグと記念撮影を行います。
時間も押しておりますので、各自3分で」

またブーイングの嵐。

「汚ね~ぞ。揺だけいっぱいハグしやがって」

彰介の罵声が飛ぶ。

「ツアコンの特典です。では並んで並んで~」

揺は至って事務的に答えた。




「じゃ、皆さん、気をつけて。空港にお送りできなくてすいません。」

車に乗り込む前に彼は深々と皆に頭を下げた。

「いいのいいの。ビョンホン君は映画のことだけ考えて。
楽しみにしてるから頑張って」

綾が彼の手を握りながらそう励ます。

「おかげでいい冥土の土産になったよ」

トメが横から割り込んで彼にすがりついた。

「おばあちゃん・・そんな。

もっといろんなところに連れて行きますから、いつまでも元気でいてくださいね」

彼はそういいながらトメを抱きしめた。

「楽しかったよ。揺ちゃんは置いてくから・・返さなくてもいいから。
うわっ!胸板硬っ!」

ドサクサに紛れて彼にしがみついた不二子は彼の身体に驚き興奮している。

「じゃ、いい仕事を。揺は返さなくていいから」

幸太郎は彼の手をしっかりと握ると真面目な顔で言った。

「はい」

彼も決意に満ちた表情で手をしっかりと握り返した。

「ヒョ~~~~ン!」

酔っ払った彰介が思い切り抱きつく。

「お前はずっとLAだろ。全く・・・」

ビョンホンが苦笑いしていると運転席の揺がクラクションを軽く鳴らした。

「じゃ・・行きますね」

彼は車に乗り込み、揺はアクセルを踏んだ。

車が見えなくなるまでいつまでも皆が見送る。

「行っちゃったね・・・」と綾。

「揺が今夜戻ってこないに50ドル」

トメが口を開く。

「私も、戻ってこないに・・・30ドル」と綾。

「俺も戻ってこないだな・・・100ドル」と幸太郎。

「みんな同じじゃ、賭けにならないじゃない」と不満そうに不二子。

「じゃ、不二子戻ってくるに賭けたら?当たると大きいよ~」と綾が言った。

「戻ってくるわけないじゃない・・馬鹿馬鹿しい。あ~飲み直し、飲み直し。
彰介君、明日の朝ホテルまで送ってね~~」

不二子はそういうとそそくさと彰介の家に戻っていく。

「あ~ご馳走様、ご馳走様、もうお腹も胸もいっぱいだわ」

皆も声を揃えて家に戻った。


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